「赤ちゃんを抱っこすると手首が痛い」
「授乳中に親指の付け根がズキッとする」
「朝起きると指が曲がったまま伸びにくい」
このような症状でお悩みではありませんか?
特に出産後の女性では、赤ちゃんの抱っこや授乳、おむつ交換などで手や指を使う機会が増え、**狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)**を起こすことがあります。
狭窄性腱鞘炎にはいくつか種類がありますが、子育て中の女性に多い代表的なものがドケルバン病とばね指です。
今回は、これらの症状や原因、治療について整形外科医がわかりやすく解説します。
狭窄性腱鞘炎とは?
手や指を動かすための「腱」は、腱鞘というトンネルの中を滑るように動いています。
手や指を繰り返し使うことで腱や腱鞘に炎症が起こると、腱の滑りが悪くなり、痛みや動かしにくさが生じます。
さらに炎症が進むと腱鞘が厚くなり、腱がトンネルを通りにくくなることがあります。
これが狭窄性腱鞘炎です。
代表的なものに、
- 手首の親指側が痛む「ドケルバン病」
- 指の付け根が痛み、指が引っかかる「ばね指」
があります。
授乳中・子育て中の女性に多い「ドケルバン病」
ドケルバン病は、手首の親指側にある腱鞘に炎症が起こる病気です。
特に、
「赤ちゃんを抱っこすると手首の親指側が痛い」
という場合には、ドケルバン病が原因になっていることがあります。
日本整形外科学会でも、ドケルバン病は妊娠・出産期の女性に多く、手の使いすぎなども原因になるとされています。
このような症状はありませんか?
- 手首の親指側が痛い
- 赤ちゃんを抱き上げると手首が痛む
- 授乳中に手首がズキッとする
- 親指を動かすと痛い
- ペットボトルのふたを開けると痛い
- フライパンやバッグを持つと手首が痛い
- 手首の親指側が腫れている
このような症状があれば、ドケルバン病の可能性があります。
なぜ出産後・授乳中に起こりやすいのでしょうか?
出産後は、赤ちゃんのお世話で手首や親指を使う機会が急激に増えます。
特に、
抱っこ → 授乳 → おむつ交換 → 抱っこ
という生活を繰り返していると、手首や親指に負担がかかりやすくなります。
また、抱っこの際には親指を広げた状態で手首に力を入れることが多く、ドケルバン病を起こすきっかけになります。
妊娠・出産期の女性にドケルバン病が多いことも知られています。
「ばね指」も子育て中の女性に多い腱鞘炎です
もう一つ代表的なのがばね指です。
ばね指では、指の付け根に痛みや腫れが出たり、指を曲げ伸ばしするときに「カクッ」と引っかかったりします。
症状が進むと、
「指を曲げたら自力で伸ばせない」
という状態になることもあります。
特に、
- 朝起きたときに指がこわばる
- 指を伸ばすときに引っかかる
- 指の付け根を押すと痛い
- 指を曲げ伸ばしするとカクッとなる
- 親指や中指が痛い
といった症状があれば、ばね指の可能性があります。
ばね指も妊娠・出産期の女性に多いことが知られています。
狭窄性腱鞘炎の治療
症状の程度によって治療方法は異なります。
① 手や指を休ませる
まずは炎症を起こしている手や指にできるだけ負担をかけないことが大切です。
ただし、子育て中は「手を休ませる」と言っても、赤ちゃんのお世話を完全に休むことはできません。
そのため、
- 抱っこの仕方を工夫する
- 手首だけに負担が集中しないようにする
- サポーターや装具を利用する
- 痛みが強い動作をできるだけ減らす
など、現実的にできる範囲で負担を減らします。
② 薬による治療
痛みや炎症が強い場合には、湿布や塗り薬、内服薬などを使用することがあります。
ただし、授乳中の場合は薬の種類について注意が必要です。
「授乳中だから薬は絶対に使えない」と自己判断するのではなく、授乳中であることを医師に伝えて、使用する薬について相談することが大切です。
③ 腱鞘内注射
症状が強い場合には、腱鞘内への注射を行うことがあります。
ドケルバン病やばね指では、保存療法の一つとして腱鞘内ステロイド注射が行われています。
注射によって炎症を抑え、痛みや指・手首の動きを改善することが期待できます。
授乳中の方の場合は、使用する薬剤や授乳への影響などを考慮して治療方法を選択します。
④ 手術
保存的な治療を行っても症状が改善しない場合や、再発を繰り返す場合には、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる手術が検討されます。
痛みを我慢し続けないことも大切です
「子育てが忙しいから、もう少し我慢しよう」
「赤ちゃんを抱っこしていれば、そのうち治るだろう」
と考えてしまう方も多いと思います。
しかし、痛みが長期間続くと、手首や指をかばうことでさらに日常生活に支障が出ることがあります。
特に、
赤ちゃんを抱っこするたびに痛い
ペットボトルのふたが開けられない
指が引っかかって伸びない
などの症状がある場合には、一度整形外科で相談することをおすすめします。
子育て中で病院・クリニックに行くのが難しい方へ
小さなお子さんを育てている時期は、
「赤ちゃんを連れて病院に行くのが大変」
「授乳の時間があるので外出しにくい」
「待ち時間が長い病院には行きづらい」
ということも少なくありません。
そのような場合には、オンライン診療も選択肢の一つです。
オンライン診療では、スマートフォンやパソコンを使って、ご自宅から医師に症状について相談することができます。
手首や指の痛みについて、
- どのような症状なのか
- いつから痛いのか
- どのような動作で痛むのか
- ドケルバン病やばね指が疑われるのか
- どのような治療が考えられるのか
- 対面診療や検査が必要なのか
などを医師に相談することができます。
特に、**「クリニックに行きたいけれど、赤ちゃんのお世話があり外出が難しい」**という子育て中の方には、オンライン診療が便利な場合があります。
一方で、実際の触診やレントゲン、超音波検査、注射などが必要な場合には、対面での診察が必要になることがあります。
オンライン診療ですべての診断・治療が完結するわけではありませんので、症状に応じて適切な診療方法をご案内します。
まとめ
狭窄性腱鞘炎は、手や指を繰り返し使うことで起こりやすい病気です。
特に子育て中の女性では、
「赤ちゃんを抱っこすると手首が痛い」
というドケルバン病や、
「指がカクッと引っかかる」
というばね指が起こることがあります。
痛みを我慢し続けるのではなく、早めに整形外科へ相談することが大切です。
また、子育て中でクリニックや病院へ行くことが難しい場合には、オンライン診療を利用して、まず医師に相談してみるという方法もあります。
「この程度で病院に行っていいのかな?」と思うような手首や指の痛みでも、お気軽にご相談ください。

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